スタイルにとらわれない自由な発想の家 藤沢N邸
Nさんの新居に訪れた人は、誰もがまず、その外観に目を奪われることでしょう。白やパステル系など、通常は明るい色が好まれる外壁のカラーリングに、Nさんが選んだのはブラック。そのモダンでシャープな佇まいは、住宅街の中でひときわ個性を放っています。大きくはりだしたウッドデッキと玄関アプローチの植栽が、男性的な外観をナチュラルな雰囲気にカジュアルダウン。どんな人が住んでいるんだろう…と、見た人の想像力を喚起する力を持っています。
「黒の外壁というのは、最初から決めていました。外観でもうひとつこだわったのは、窓です。外から見た時に、形や大きさの異なる窓がちょこちょこと組み合わさっているようなのが嫌で、整然と並んで見えるようデザインしてもらいました。部屋の中から外を見た時も気持ちいいんですよ。昼なら緑が、夜なら月や星空が窓枠に切り取られて、絵が並んでいるように見えるんです」。
2階は、ほぼ全面がリビング・ダイニングとキッチン。天井が高く、上には大収納を誇るロフトが設けられています。レッドシダーを用いた広々としたバルコニーは、やんちゃ盛りのお嬢様の気持ち良い遊び場。シンプルながら、遊び心に満ちあふれた空間が広がっています。
ご夫妻の趣味は、自転車のダウンヒル。休日は車にマシンを乗せ、親子3人で長野までレースを楽しみに行くこともあるそうです。お持ちの自転車は4台。以前の家では、その置き場所に頭を悩ませていたのだとか。
「家を建てるにあたって、自転車の部屋をつくるのは最優先事項でした。家の中からも外の駐車スペースからも出入りできるようになっています。ただ並べておくのでは味気ないので、きちんとディスプレイして。気に入ってますよ、用事がなくても1日に1度は覗きにいってしまうほど(笑)」とご主人。
では、奥様のお気に入りのスペースはというと、キッチンだそう。レストランの厨房のような、飾り気のないステンレスのシンクに武骨なガステーブル。業務用を中古で購入されたという本格的なもので、決してカタチだけのつくりではありません。画一的なシステムキッチンに見慣れた目には、とても新鮮に映ります。
「東京のカフェで見かけて『これだ!』って。別にシステムキッチンでも良かったんですが、業務用、しかも中古だったら安くてすむかなと思ったんです(笑)。レンジフードは、キッチンのテイストに合わせてステンレスで作ってもらいました。前例が無いようでいろいろとワガママを言いましたが、神奈川地所の大浦さんに、こちらの要望通りに調整していただいて助かりました」と奥様は語ります。作業台が汚れてもサっと拭くだけで手入れがカンタン。業務用だけに火力が強く、一度でたくさんの量を作ることができるのも自慢です。奥様のご両親とご夫妻、それにお嬢様の5人はいつも揃って食事をされるそうで、とても重宝しているのだそう。使い勝手の良さと住む人のセンスが見事に調和した、お手本にしたくなる住まいです。